評価手法

知的財産や無形資産の評価手法を紹介しています

Mathematical Finance

価値評価の対象である知的財産の種類や価値評価が必要となる局面に応じて評価手法を選定します。
評価手法によっては、ファイナンス理論に基づいて価値を評価する必要があります。
当事者の利益を毀損しないためにもプロフェッショナルが最適なアプローチをご提案します。

定量的・定性的評価 / Quantitative and Qualitative Valuation



知的財産評価は様々なアプローチが採用されています。アプローチは定量的および定性的評価の2つのカテゴリーに分けられます。定量的アプローチは、知的財産の経済的価値を評価する目的で数値的かつ測定可能なデータに依存していますが、定性的アプローチは、法的、技術的、マーケティング、または技術の戦略的側面などの知的財産の特性と潜在的な用途の分析に焦点を当てています。定性的評価では、企業の知的財産に関連するリスクと機会の評価も取り扱います。

定量的アプローチ


定量的アプローチは、インカムアプローチ、マーケットアプローチ、コストアプローチ、オプションアプローチに大別される。

評価手法

概要

特徴

コスト
アプローチ

再作成
原価

取替
原価

評価対象の無形資産の複製の購入または開発に関連するすべてのコストを集計して価値を評価する方法

評価対象の無形資産と同様の用途または機能を持つ同等の知的財産を取得するために費やされるコストを集計して価値を評価する方法

単純な積み上げで客観性は確保できるが、研究開発は不確実性が高く、同様の研究開発を行ったとしても全く同じ複製が得られるとは言えない。

単純な積み上げで客観性は確保できるが、研究開発は不確実性が高く、同様の研究開発を行ったとしてもと同様の用途または機能を持つ複製が得られるとは言えない。

マーケット
アプローチ

類似取引比較法

評価対象の無形資産と類似する無形資産の市場取引(売買またはライセンス契約)の金額で価値を評価する方法

市場価値を基礎として客観性は確保できるが、類似の無形資産が取引されている市場がない、または市場は存在するが取引されている事例は少ない。

インカム
アプローチ

ロイヤリティ
免除法

利益
分割法

超過
収益法

ライ
センス
アウト

評価対象の無形資産がなければ外部に支払わなければならないロイヤリティの割引現在価値を評価する方法

事業から得た利益のうち評価対象の無形資産の貢献部分の利益を割り引くことで価値を評価する方法

事業から得た利益のうち、評価対象の無形資産以外の資産の公正価値と要求利回りを乗じたコスト(キャピタルチャージ)を控除して価値を評価する方法

評価対象の無形資産を外部にライセンスアウトして得られる利益の割引現在価値を評価する方法

類似ライセンス分析等によりロイヤリティ料率の推定ができれば、売上計画等から評価が可能である。

事業利益(事業価値)と無形資産収益(無形資産価値)の比較検討が必要となる。

評価対象の無形資産以外の資産の評価、収益率の分析が必要となる。

料率/期間等はライセンス契約から取得可能であるが、当該ライセンス先である外部の会社の売上計画予測等が必要となる。

オプション
アプローチ

オプション価格算定モデル

ブラックショールズモデルなどのオプションモデルは、他の方法とは異なり、投資に関連するオプションと機会を考慮して価値を評価する方法

無形資産(コールオプション)は、将来の予想価格がリスクのない代替手段で同程度の収益を得る機会費用を超える場合に限り、購入者(所有者)に価値が生じ、評価が可能となる。



定性的アプローチ


定性的アプローチは、財務分析データに依存せず、知的財産を評価することを目的とした様々な指標の分析を通じて行われます。つまり、法的側面、イノベーションの技術レベル、市場の詳細など知的財産の価値に影響を与える可能性がある側面に関して、その重要性を確認することです。一般的に、アンケートを通じて実行されます。

ロイヤリティ免除法 / The Relief from Royalty Method



特許権を対象に、インカムアプローチの中でも特に代表的な手法であるロイヤルティ免除法について紹介します。

ロイヤルティ免除法における特許権価値の算定は、「ロイヤルティ収入の割引現在価値」、「節税効果(TAB:Tax Amortization Benefit)」の構成要素からなる。


特許権価値 = ロイヤルティ収入の割引現在価値 + 節税効果

ロイヤリティ収入の割引現在価値

ロイヤルティ収入による割引現在価値は、特許権の残存有効期間におけるロイヤルティ収入(Free Cash Flow:FCF)に陳腐化を考慮し、無形資産固有の割引率で割り戻した現在価値として算定される。ここで、FCFは下記算式に示す通り、売上高にロイヤルティレートを乗じ、特許権維持管理費などを控除することにより、特許権保有にかかるキャッシュフローを見積もる。

まず、売上高およびロイヤルティレートの積により、評価の対象となる特許権にかかるロイヤルティ収入となる。しかし、特許権などの技術資産は、代替技術などの台頭により価値が目減りすることが一般的であるため、製品ライフサイクルなどから陳腐化を合理的に見積もる必要が考えらえる。

つぎに、特許権にかかるFCFを現在価値に割り引いた合計が特許権価値となる。参考までに特許権価値評価のイメージを以下に示す。


FCF = 売上高 × ロイヤルティレート × 陳腐化考慮
              - 特許権維持管理費 - 法人税等

WACCとWARAの関係

特許権にかかる割引率は、資金調達コストの加重平均である加重平均資本コスト(Weighted Average Cost of Capital:WACC)および資金期待収益率の加重平均である加重平均資産コスト(Weighted Average Return on Assets:WARA)と各資産の相対的リスクのバランスを図り、かつ各資産ごとに資本構成を考慮しながら決定する。WARAは運転資本、有形固定資産、無形固定資産、のれん(人的資産も構成)の各資産グループの期待収益率の加重平均であるが、一般的には以下のようになる。


運転資本 < 有形固定資産 < 無形固定資産 < のれん

WACC/WARAイメージ

節税効果

特許権の償却費は税務上の耐用年数のもと損金算入されるため、節税メリットを享受できる。そこで、当該節税効果を価値評価に織り込むため、償却費に税率を乗じた影響額を割引いて現在価値を算定する場合がある。しかし、当該影響によって対象期間におけるFCFが変動し、償却費の計算原資である特許権の現在価値も併せて変動する循環計算となる。そこで、節税効果にかかる現価係数(Discount factor)の期間合計および節税効果考慮後の特許権価値から、節税効果にかかる現在価値が算定されると仮定した場合、以下算定式により特許権価値を評価することになる。


特許権価値 - 特許権価値 × 節税効果にかかる現価係数の期間合計
 = ロイヤルティ収入による割引現在価値

特許権価値評価イメージ



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