AI関連発明の国内出願件数の推移
AI関連発明は2014年以降急激に増加しており、2018年は約4,700件となっています。
AI関連発明は、いわゆる第二次AIブームの影響により、1990年代前半に一度出願ブームといえる状況が発生しましたが、その後20年近く出願件数は低調に推移していました。第二次AIブームにて流行したのは、知識ベースモデル、エキスパートシステム等の技術ですが、事前にあらゆる事象のルールをコンピュータに教え込むことの難しさから、ブームは終焉を迎えました。また、古くからあるニューラルネットも当時盛んに研究されていましたが、性能の限界が生じ、こちらもブームは一時的なものでした。
2014年以降の出願増は、いわゆる第三次AIブームの影響と考えられ、その主役はニューラルネットを含む機械学習技術です(中でも深層学習技術が主要な地位を占めます)。第三次AIブームが生じた要因は、機械学習における過学習を抑制する手法の開発や、計算機の性能向上とデータ流通量の増加によって、AI関連の理論の実用化が可能になったことであるといわれています。例えば、深層学習の肝である、ニューラルネットの多層化という発想自体は数十年前からありましたが、莫大な計算コストが問題となり、これまで研究が進んでいませんでした。しかし2012年にカナダのトロント大学のチームが、世界的な画像認識のコンテスト「ILSVRC(ImageNet Large Scale Visual Recognition Competition)」において深層学習を使って圧勝したことが一つの契機となり、今に至る第三次AIブームが生じています。